SAIHATE村は東日本大震災があった2011年の11月11日に開村し、1万坪という広大な土地で、未来を見据えた新しい暮らし方を表現することができる強い土台を作ってきました。
これは、来るべく「暮らしの大転換期」の為の準備であり、現代社会に対するポジティブな姿勢の表れでもあります。何かに反対するでもなく、テクノロジーに背をむけるでもなく、多くの現代人に受け入れられる“幸せを追求した新しい暮らし”を模索するという壮大な社会実験であり、オルタナティブ(持続可能な)文化を模索する新しいコミュニティです。
いよいよ日本でもブーム到来の兆し溢れる『エコビレッジ』シーン。
「環境問題」や「幸せな人生」などを想えば、いよいよ現状の「資本主義競争社会」のシステムには限界が見えつつありますが、「ならば新しいライフスタイルを」と動き始めた人々のムーブメント、具現化してくれるコミュニティが『エコビレッジ』です。
Wikipediaでは、「持続可能性を目標としたまちづくりや社会づくりのコンセプト、またそのコミュニティ」と定義されています。
現在、このサイハテ村と同様に「暮らし」をベースにした、様々な個性のエコビレッジが世界中にたくさんありますし、日本にもどんどん増えています!
熊本県宇城市は宇土半島の真ん中に位置し、1万坪の敷地面積を誇るSAIHATE村は、1986年から2001年までの15年間、この場所でコミュニティ作りをしていた“自然の里”という団体が活動を停止して10年後にあたる2011年に、ここにあった全てを引き継ぐところからSAIHATEの物語は始まります。
多くの人が暮らし方や人生を見つめなおすきっかけになった東日本大震災後、この場所を使って新しい生き方や文化を生み出したいと、発起人である工藤真工は出資者と住人を募集しました。その噂はSNSで一気に広がり、この場所の存在を知ってからわずか3ヶ月後の2011年11月11日に“SAIHATE村”が誕生しました。
発起人である工藤は前代未聞なコンセプトを打ち出します、それが「ルールもリーダーも無い、お好きにどうぞで始まる村づくり」型破りで非常識なこの発言に多くの人が戸惑いました。
「そんな身勝手なコミュニティは潰れる!」「そんなやり方をしているところなんて無い!」
しかし僕らは、日本人が長い歴史の中で養ってきた“調和”や“相手を思いやる心”があればきっと上手くいくと信じています。
そしてそれは出口の見えない現代社会に対する希望や願いでもありました。
この言葉を聞いてどう感じるでしょう?ある人は「なんでも自分の好き勝手にやっていいんだ!」と感じます。
しかし、僕らの中では自分の行動に対して大きな責任を持たせる言葉だと認識しています。
好きなことをする自由とは、その行為の結果について「どんな未来を引き起こすことになるのか?」を深く考えること。
そして、その行為に関わるみんなとのバランスを意識したコミュニケーションを促すものになるのです。
ここでは自分がしたい事を受け入れてくれる土壌があり、好きなことをする!という行為は驚くようなペースで斬新で面白いアイデアを形にして行きました。それは会社組織のようなヒエラルキー型の組織ではなく、ホラクラシー的な一つの新しい社会を生み出したのです。
パーマカルチャーデザインとは「持続性の高い生態系と文化」を築くためのデザインです。テーマにした場所を構成するあらゆるもの (気候・土地・風土・人・動植物・菌・無機物・構造物) について可能な限り情報を集め、それらの機能と繋がりを見出し、自律的に相乗効果を生み出す関係性をデザインする行為であり、オルタナティブ(持続可能な)という方向性を持った思考です。
サイハテでは、このデザインをできるだけヒューマンスケールで進めています。それは、人間社会以外のこの世界はそもそも高い持続性を備えており、パーマカルチャーは地球環境のためではなく、あくまでも人間のためのデザインだからです。サイハテを形づくる人達が描ける範囲、できる範囲で少しづつデザインを進め、デザインの具現化を通して学びや経験を積み、改善を繰り返すことで、そのデザインを自分達のものとして構築、維持ができるようになる。そこで初めて持続性の高い生態系や文化となります。
そして、パーマカルチャーは、デザインが進行するにつれて、「人間が暮らすことによって、すべての人と生物にとってより豊かで生産性の高い場にできる」ことを明らかにしてくれます。つまり、そこに暮らす人達が活性化することでデザインは加速度的に進化し、常に最適化され続け、高い持続可能性なコミュニティになるのです。
住人の入れ替わりを経て現在、サイハテ村の住人は子ども10人と大人17人の合計27人が暮しており、年齢もスキルもバラバラの個性豊かなクリエイター達で形成されています。
大工、縫製作家、猟師、家具職人、映像クリエイター、マッサージ師、タイル職人、アースバッグビルダー、ペインター、照明作家、ヨガインストラクター、歌手、パーマカルチャーデザイナー、コミュニティマネージャーなどなど、サブスキルを合わせたらとんでも無い知恵が集合していることになります。
各々のやりたい事を本気で取り組むという究極のスタンドプレーから生じる最高なチームプレーが僕らのスタイルです。
“SAIHATE Media”はサイハテ村の暮らし、つまり文化そのものを可視化させるためのインターネット媒体です。
オウンドメディアやローカルメディアの性質を持っていますが、言ってしまえば超ニッチな「コミュニティメディア」です。
目的はサイハテという文化を多くの人と共有すること。個性豊かなサイハテ村の住人がそれぞれの視点で暮らしっぷりや思考を文章化することで、文化が作られていく様子や村づくりのプロセスを共有しやすくします。
“SAIHATE Media”で得た知識や物語りを共有し、連動しているリアルなサイハテ村に来ることで、あなたも物語りの登場人物として文化の1ページに名が刻まれるのです!